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人生は折り返して元の姿に戻る(MGさん/50代女性)

止まらない認知症の症状(架空の電話・隠す・忘れる・繰返す)

母の性格が変わっていく

私の母は、若い頃からとても几帳面な人で、いつも身ぎれいにしていました。

使ったら必ず元の場所に戻す、脱いだものは、必ずその日のうちに洗濯する。そんな母でしたが、80才になる前から認知症の症状が現れて、2年経った頃には、そんな母の姿は完全になくなりました

洗濯した服をタンスにしまうこともなく、テーブルの上、畳の上、部屋の隅に放置してありました。

母が使っているタンスは複数あります。しかし、当時の母が使っていたのは、1つの洋服ダンスだけで、しかもその中の1つの引き戸のみでした。その引き戸に何もかも詰め込んでいる状態です。そこになければ、他のタンスを探すということもありません。

今から外出するという時に、その引き戸にあったパジャマのズボンをはいていたこともありました。服のズボンとパジャマのズボンの違いがわからなくなったのか、引き戸にズボンらしきものはパジャマしかなかったからなのか、真実はわかりません。

何にしても面倒になり、着るものにも関心がなくなってしまったようでした。

 

相手がいないのに、電話ではっきりと会話をする

とてもショックな症状が現れてきました。その症状は、おそらく母が何かに不満を感じている時に現れるようでした。

母が、自分の部屋で、誰かと電話をしていたのです。ずっと話しているので、様子を見に行くと、テーブルに腰掛け、タンスの引き戸を開けて、引き戸に向かって会話をしていました

最初は、コードレスで話していると思いました。しかし、コードレスは充電中だったのです。それを見た時、とてもショックというか恐いと感じました。

もう一度母を見ても、普通に会話をしています。「うん。うん。そうそう。だからね・・」と。

恐る恐る母に「お母さん、誰と話しているの?」と声をかけると、電話を切る感じで「あ、それじゃまた電話するね」と言い、私の方を振り向いて「誰でもない」と少し怒り気味に言ったのです。

この症状は、この時だけではありません。不満がある時や、何かのはずみで、座っている時も、立っている時も、突然、本当に電話をかけているように独り言を言い始めます

極端な時は、話しながらトイレに行き、トイレの中でもずっと会話していることもありました。

 

私に対し、とても過激な言葉で言い返す

デイサービスに行く日を記憶できません。

毎日行く準備をする母に「行く日は決まっていて今日は違うよ」と説明すると、「そんなことがいつ決まった!?私が知らないことをなぜ知っている!?」と強く言い返してきます。

その時も、誰かと電話で話すように「何十年もこの仕事をしているけど、いつ仕事に行かなければいけないか、まだわからない!」とはっきり独り言を言っていました。

母はデイサービスに仕事に行っていると思い込んでいました。

不思議なことに、その会話(独り言)とその思い込みは繋がっているようでした。

自分のバックに何でも詰め込んでいた母は、そのことを忘れ「なくなった!誰が盗った!」と大騒ぎします。

「お母さんのバックにあると思うよ」と言うと「何で私のバックの中に何が入っているか知っているわけ?!」と言い返してきます。

母が認知症になってから、年金の管理も私がするようになったので、母の財布にいくら入っているか把握していました。

母が「お金がないから年金をおろしに行く」と言い出したので、「まだ財布の中にお金あるはずだよ」と言うと「人の財布の中にお金が入っているとかいないとか、なぜ知っている!?人の財布を黙って見ているのか!」と言い返されます。

母が、どんどん壊れていきました

自分で自分のことがわからなくなってきて、不安が怒りに変わっていたのだと思いますが、当時の私は本当に心が折れそうになりました

(参考:物盗られ妄想

 

私物をすべてを隠そうとする

自分の物を部屋に持っていき、隠すようになりました。

まだ、どれが自分の物なのかはわかっていたようです。冷蔵庫に保管しているインスリンや、飲み薬も部屋に持っていき、さまざまところに隠していました。バックに入れていることが多かったのですが、最終的に見つからず、薬が足りなくなって病院にお願いしたこともありました。

これも、誰かにとられるという妄想だったと思います。

また、あんなに毎日洗濯していた母が、脱いだ服や下着を部屋の隅に丸めて隠すことが多くなりました。

当時の、デイサービスの連絡帳にも「とても、バックを気にされていて、衣類について清潔・不潔の確認が難しいです」と書いてあったことがありました。

 

新しい事、新しい物は記憶に残らない

母の服を買いました。

買う時は、とても気に入った様子で、ニコニコしていたのですが、帰宅後、その服を見て「これ誰の?」と言うのです。

翌日、デイサービスにその服を着て行き、帰宅した母は、自分が着ている服を見て「人の服を着て帰ってきた」と言っていました。

「それはお母さんの服だよ。一緒に買い物に行って買ったよね」と説明しても、まったく反応しません。

認知症は、よく少し前のことでも忘れると言われますが、私は、母を見ていて、新しい事や物については、忘れているのではなく、最初から記憶していない(できない)ように思います。

 

時間、季節、毎日していたことがわからなくなった母

夕食の準備ができて、母を呼びに行くと、「もう起きた?今日は早いね。まだ外は暗いのに」と言うことが何度もありました。夜なのに、朝(明け方)と勘違いをするのです。

「今、夜だよ。昼寝した?だから朝と勘違いしたのかもね」と言うと、苦笑いをしながら、「そうだろうね」と瞬間的に自分の発言をごまかそうとします。

その会話で、いま夜ということを理解したと思っていたのですが、食卓テーブルに並ぶ夕食を見て「わー!朝からごちそうね!」と言ったのです。

その間、5分も経っていません。

この頃はもう、何日なのか、何月なのか、それはもちろんですが、季節さえわからなくなっていました。少しでも、刺激になるようにと「おはよう」「おやすみ」の声かけや、できるだけ季節を感じるように心がけました。

更に、毎日していたこともわからなくなりました。

以前は、私が食事の支度をして、母が食卓テーブルに、湯のみや箸を置くというのが習慣でした。だんだんと、部屋から出てこなくなりましたが、それでも時には、以前とおなじように手伝ってくれました。

しかし、以前とは大きな違いがあったのです。

家族の人数がわからない湯飲みや箸が誰の物なのかわからないという症状です。

毎回の食事で、何度も繰り返してきたことなのに、人数以上の湯のみを並べ、箸をじっと見て「これ誰の箸?」と聞くようになっていました。

 

一日に何度も洗濯を繰り返す母

洗濯したばかりの服や下着を一日何回も洗濯しています。洗濯物を畳むつもりで置いているのを忘れ、また洗濯するという繰り返しです。汚れたものは、部屋の隅に丸めて放置してあるのに、たった2~3枚を洗っていることも多々ありました。

この頃はまだ、何かにつかまりながら自分で歩くことができたので、この行動を止めることは出来ませんでした。

 

同じ話を何度も繰り返す母

同じことを何回も言う

これは良く聞くことですが、母もそうでした。

この症状が現れてすぐの頃、接し方もわからなかった私は、3回くらいまでは、きちんと話を聞いて返事をしていたのですが、それ以上になると、おさえきれず「だからね!さっきも言ったけど!」そんなふうに言っていました。

しかし、介護についていろいろ学んでいくうちに、本人は本当に「はじめて話している」と思っているから、「だからね!」と言われると、不思議に思ったり、怒りに感じたりすると言うことを理解し、その後は、一度その場を離れることにしたのです。

離れると言っても、2~3分で戻ります。そして母にまったく違う話をするのです。そうすることで、母の繰り返しは一旦止まります。私は、そうやって、乗り越えてきました。

家の中にいる時は、その方法で何とかなったのですが、車の中が問題でした。母が通院している病院は、車で約1時間かかります。往復2時間、母の繰り返しが始まると、その場を離れることも出来ず、とても大変でした。

一度、数えてみたことがあります。片道1時間の車中で「バックがない。私のバックは?!」と20回以上繰り返していました。どうしようもない時は、コンビニに車を止め、お茶を買って、リセットしたことも度々ありました。

決してわざとではないことはわかります。理解してあげなければいけないこともわかりますが、介護する側のストレスは本当に大きいと思います。

(参考:同じことをと何度も言う

 

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