同居介護か別居介護か
同居介護か別居介護か
呼び寄せ同居の問題
子が親を呼び寄せて同居する、いわゆる「呼び寄せ同居」の問題としては、例えば以下のようなことがあるようです。
- 本当は本人が必ずしも希望していない
- 新しい環境に馴染めない
- 親子の関係がうまくいかない
- 子供の家族との関係がうまくいかない
- 料理の味などが合わない
- (趣味など)これまでしていたことが継続できなくなる
- これまでの友人・知人に会えなくなる
同居の問題の解決の一つとして、本人が他人との付き合いを嫌がらない場合には、同居する地域でのコミュニティやボランティアなどで、顔を出せる集まりがあるかどうか、そしてその集まりに親と同郷の人がいるかどうかなど、調べてみるのも良いかもしれません。初めての出会いでも、同郷というだけで、いくつものハードルを越えて親しくなれる可能性があるかもしれません。
ちょっとした新しい人間関係から、新生活に馴染めるかどうかの手がかりが導き出せるかもしれません。ただし、新しい人との出会いが本人にとってストレスになる場合には、無理強いすることは逆効果になる恐れもありますので、注意が必要です。
一般に高齢者、ましてや認知症の人は環境の変化に対応しづらい、ということは念頭においておくべきです。
別居介護でのお互いの心理的負担
一方、親と別居して介護していることで、子供は心配だとか申し訳ないなどの心理的負担を感じることもあります。
親の方は、子供に世話をかけたくないから別居がよいと思うかもしれませんが、逆に(口に出さないまでも)もっと世話をして欲しいと思っているかもしれません。これまでの親子関係、あるいは育ってきた時代の慣習などによって、親子であっても介護についての認識が全く違う場合もあるでしょう。
そもそも、それぞれが離れたところに住んでいたり、完全に別な生活を営んでいる場合には、別居介護はありえます。その場合には、別居する親の安全・ケアをどうするか、という問題に取り組む必要があります。
別居介護自体の是非は、一言では言い切れません。なぜならば、たとえ別居していてもお互いの気持ちが通じ、了解が成立していれば、後は見守り・介護環境が整っているかどうかの問題になります。環境は、介護サービスやゆくゆくは施設などの力を借りることである程度解決できる可能性があります。
一方、たとえ同居していたとしても、考え方や性格、習慣の相違から、冷たい親子関係になってしまう場合もあり、親子の葛藤の末、同居に失敗して里帰りする例も少なくないようです。これは、何も認知症でなくてもありえることですね。
別居介護での問題点
別居介護での問題のひとつは、例えば子供(介護者)の望む見守り・ケアを親(認知症の本人)が拒否するケースです(本人に自己判断能力が残っている場合です)。以下のような状況です。
- 本人が「まだ年寄り扱いされたくない」「(実際にできていなくても)まだ何事も自分の力で生活できる」と思っている
- 「老人の集まりのようなデーサービスになど行きたくない」と思っている
- (介護の点から安全に作られている電化製品などを)使いたくない、使い方がわからない
このような場合には、見守りやケアについて子供が直接本人に言うのではなく、ケアマネージャーやかかりつけ医などの専門家(ある意味権威ある人)から本人にアドバイスを伝えてもらうと、受け入れやすい場合があるようです。