介護の費用
介護の費用
介護に必要な期間
介護に必要な多くのサービスが制度化され、誰もが安心して介護を受けたり介護したりできるようになってきたと言えますが、どれだけの費用がかかるかということが心配です。介護は子育てと違って先が読めないので、何年続くかわからず、介護費用や生活費の資金計画をたてることさえままならないというのが現状です。
いろいろな機関の調査によると、生活する上で何らかの援助を必要とする期間は、男性は約6年間で、女性は約8年間であるということです。介護期間の平均は4年弱であるという調査結果も出ていますが、同じ調査で、4年以上と回答した人が3割を超えていて、今後も介護期間は長くなっていくのではないかと考えられています。
介護に必要な費用とは
介護には、いろいろな費用がかかります。
要介護者と介護する人の状況により異なりますし、在宅での介護か、施設や病院での介護かによっても、大きく異なります。介護保険のサービスを受ける場合は、要介護度により自己負担額が異なりますし、家族と同居している場合は交通費がかからなくても、家族が遠隔地で暮らしているような場合は、交通費もかかります。
市区町村により、紙オムツ代の補助等、介護保険外の支援の内容が異なりますから、介護費用にも差が出てきます。また、在宅の認知症の人の場合、失禁の回数が多く洗濯の回数が増える場合は水道代が余分にかかったり、徘徊等の周辺症状が出ている場合は、介護保険外のサービスを利用する費用がかかったりすることもあります。これらの他にも、予測がつきにくい、目に見えない費用がかかることが少なくありません。
在宅介護の場合
ある調査によると、在宅介護で1か月に必要な介護費用は、平均42,000円程度(介護保険の在宅サービス利用料の自己負担分を含む)であるようです。
在宅サービスの利用限度額の自己負担分(1割負担)は、要支援1の場合の4,970円から、最も介護度が重い要介護5の場合の35,830円まで段階が分かれています。ですから、要介護5の場合は、1か月に必要な介護費用は、平均をかなり上回る75,000円程度になるようです。
利用限度額を超えてサービスを利用すると、超えた部分は全額自己負担となります。もちろん、誰もが限度額いっぱいまでサービスを利用するとは限りません。要介護者本人や介護者の状況により、必要なサービスを選ぶことになります。
在宅サービス利用料の自己負担分の他には、通常、次のような費用がかかります。
- 通院や入院に必要な費用
医療費、病院の洗濯機やテレビの使用料、通院時の交通費(ガソリン代等も含む)、入院に必要な身の回り品の購入費用(寝間着、日用品等)、見舞客の接待に必要な費用。この費用は、要介護者に病気がある場合のみ必要となりますが、高齢であると病気がある場合がほとんで、しかも介護費用全体の中でも大きな比率を占めるものです。 - 介護保険外サービスの利用料、オムツ代、介護用品(寝具や食料品等)の購入費用
- 介護保険のサービスであっても、全額自己負担となるもの(例えば、デイサービスの食事代)
- 住環境の整備に必要なリフォーム費用等のうち、介護保険が適用されないもの
施設介護の場合
いずれも、施設の利用料に加えて、介護保険のサービスの自己負担分も含む金額ですが、施設によっては、さらに費用がかかる場合があります(施設での娯楽費やお小遣い、衣類の購入費等)。
施設の利用料には、賃料(家賃に相当するもの)、食費、光熱費、共用施設の管理費等が含まれますが、施設により料金の設定内容が異なるため、事前の確認が必要です。通常、相部屋の場合は賃料は低く押さえられていますが、ユニットタイプの部屋や個室の場合はどうしても高くなります。
特別養護老人ホーム(特養) | 6万~15万円 |
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介護老人保健施設(老健) | 6万~15万円 |
介護療養型医療施設 | 7万~20万円 |
ケアハウス(軽費老人ホーム) | 7万~15万円 |
認知症高齢者グループホーム | 12万~20万円(入居一時金が必要な場合がある) |
有料老人ホーム | 20万円以上(入居一時金が必要な場合がある) |
また、入居一時金が必要な施設の場合、100万円単位の高額な金額が設定されていることが少なくありませんから、まず、支払いが可能かどうか、そして、退所した場合の返還金のこと等についても、しっかり確認しておきましょう。
施設により、利用者の状況に変化があれば料金が変更になる場合もあります。例えば、入所時に要介護ではなかった人が、入所後に要介護の状態になったりした場合等です。
利用者の状態が大きく変化し、その施設の入所の基準からはずれてしまう場合は、退所を求められることもあります。さらに、入所時の利用料がずっと適用されるのでなく、入所中に料金が改定される場合もあるようです。
面会に行く家族と離れた場所にある施設の場合は、面会に行く際の交通費に加え、場合によっては宿泊費等も考えておく必要がありますし、施設側との連絡に必要な電話代や郵便代などの通信費もかかります。