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自治体の後見申請

自治体の後見申請

成年後見制度は、認知症などで判断力が不十分になった人の財産や生活を守る制度で、2000年4月に設けられました。利用者数は2013年末で、17万6564人となっています。その中でも、本人の判断力が既になくなるか低下している状態で、自分で後見人等を選ぶことができない場合に利用する「法定後見制度」があります。

成年後見は、配偶者・親族による申請が基本となっていますが、ここ数年で、自治体(市区町村長)が「成年後見」を申請した件数が急激に増えたことが朝日新聞の調べで分かりました。

なぜ自治体が成年後見申請するのか

老人福祉法では「市区町村長は65歳以上の人に対して、その福祉を図るため特に必要があると認める時は、保佐開始の審判を請求することができる」と定めています。(老人福祉法32条)

例えば下記のようなやむを得ない場合に自治体(市区町村長)が家庭裁判所に申請をします。

  • 親族が既にいない・見つからない
  • 親族がいても協力を得られない

また、子供に年金を使い込まれるといった、経済的な虐待を受けているような場合も、自治体が申請する対象となります。

自治体による申請は2013年には5,000件を超えて、申請全体に占める割合としては、子供による申請の次となっています。その背景としては、1人暮らしの高齢者が増加していることなどが大きな原因となっているようです。

自治体が成年後見申請をすることで助かる人

自治体が後見申請をすることによって、家庭裁判所で審理が行われ、司法書士などの専門職の人などが成年後見人として選任されます。これにより、成年後見人は財産等の管理だけではなく、介護保険契約の手続きを進め、特別養護老人ホームへの入所契約各介護サービスなどの契約を行って、本人は様々なサービスを受けられるようになります。

自治体の体制整備が求められる

しかし、同じ規模の自治体でも申請数には差があり、自治体によっては体制が不十分であるようです。

親族や近所の人にも気付かれず、支援が行きとどかないという認知症高齢者は多いのではないかと考えられています。最悪の場合、そのまま気付かれずに孤独死する可能性もあるかもしれません。孤立している認知症高齢者のためにも、自治体は申請マニュアルを作るなど、早急に体制を整えることが求められます。

地域で自分自身でできること

地域としてできることは、自治体による成年後見申請をより広く知ってもらうことが第一です。近所の人や民生委員が高齢者の異常に気付き、自治体に知らせることによって助けられる人がたくさんいます。

また、自分自身の今後についても早くから考えて、成年後見の準備を進めることも必要でしょう。任意成年後見制度は、自分で後見人等を選ぶことができるので、信頼できる人に任せることができます。