認知症の周辺症状2(徘徊/不潔・弄便/食行動/失禁)
認知症の周辺症状2(徘徊/不潔・弄便/食行動/失禁)
徘徊
徘徊は、認知症の中期になるとよく見られる症状です。目的もなく歩き回る場合と、目的があって外出して道に迷い、歩き回ることになってしまう場合の2つに分かれるようです。
目的がない場合は、時間に関係なく一日中歩き回ることも少なくないようです。ちょっと目を離したすきに家から出てしまったりするので、絶えず目が離せない上、誰かが付き添う必要があるので、家族にとっては負担が大きい症状のひとつです。はためには目的がないように見えても、本人には「家に帰る」「仕事に行く」などの目的がある場合もあります。
迷子になってしまうのは、中核症状のひとつである見当識障害により、方向や場所がわからなくなることが原因です。迷子になった時「誰かに聞けばいい」と気づくことも困難で、徘徊し続けることになってしまいます。
不潔行動・弄便
不潔行動に含まれるものとして、入浴や洗髪、洗面や着替えを拒否する人もいるようです。これは、介助してくれる人が誰なのかわからなくなって、「知らない人には介助してほしくない」と思ったり、「服を脱いで裸になることが恥ずかしい」と感じたりすることが原因になっていることがよくあるようです。
弄便(ろうべん)は、言葉だけ見ると便をもてあそぶという意味に取れます。しかし、わざともてあそんでいるわけではなく、実際には、排泄した後や失禁してしまったときに、自分で始末しようとして手や衣類、トイレの壁などを汚してしまうことを意味することが多いようです。
オムツを使用している場合は、排便後の不快感が原因でオムツを自分ではずしてしまうことも、トラブルの原因になります。便器の座り方などもわからなくなって、逆の向きに座ってしまって便器や床を汚し、始末できずに混乱することもあります。最近では、ウォシュレット等がついた最新式のトイレも多くなり、機能が複雑だと認知症の人にはますます使い辛いトイレになっているかも知れません。
食行動の異常
食行動の異常として、主に次の4つの状態が挙げられます。
- 異食
紙やごみ、石鹸、草花、腐ったもの、便など、食べられないものを食べることです。食品かどうかの区別がつかなくなっている状態です。何か要求があって、満たしてほしいというサインであると言われることもあります。 - 盗食
他の人の食べ物をとって食べることです。 - 過食
食事の量や回数が非常に多くなることです。記憶障害があるため、食事をしたことを忘れ、繰り返して食事をするために起こることがほとんどのようです。満腹中枢が障害されて起こる場合もあります。 - 拒食
食事をとることを拒否することです。食べるという行動そのものを忘れてしまう状態です。
失禁
認知症が進行すると、失禁の症状が多く見られるようです。決して尿意や便意を感じなくなるわけではなく、尿意や便意は脳に伝わっているとされています。しかし、その感覚を脳が識別できず、トイレへ行くという行動ができなくなるようです。尿意や便意が脳に伝わった段階で、何となくそわそわして落ち着かない様子が見られることが多いようです。
また、トイレの場所がわからなくなって失禁したり、トイレに行くつもりで席を立ったのに、トイレに行くことそのものを忘れて失禁することもあります。トイレに行って服を脱ごうとしたのに、自分ではうまく脱ぐことができず失禁することもあります。
失禁すると後始末が大変ですから、介護する人にとって負担の大きい症状ですが、失禁した人もショックを受け、プライドが傷つくことが多いので、適切な対処が必要です。
脳血管性認知症の場合は、脳血管の障害により膀胱の機能が障害され、初期の頃から尿失禁が始まることもあるようです。睡眠薬や精神安定薬などの薬を飲んでいる人の場合は、薬の副作用で尿失禁が起こることもあるようです。