独居(一人暮らし)で注意すること
独居(一人暮らし)で注意すること
現在、日本では65歳以上の高齢者の独居(一人暮らし)世帯が年々増えています。平成22年度に厚生労働省が発表した統計結果では、約502万世帯でした。
また65歳以上の高齢者での、軽度認知障害も加えた認知症患者数は、およそ4人に1人の割合となっているようです。
このような状況を踏まえると、高齢で独居生活をしている家族がいると不安です。しかし、認知症になったからといって子供が引取ったりして、急に環境を変えるのは、本人にとっては心の平穏を保てなくなったり、人との交流を極端に減らしてしまう可能性もあり、その結果症状を重くさせてしまう場合もあります。
環境の大きな変化で認知症に1(引越し、引退)
日常の危険・トラブルを回避するために
高齢者の一人暮らしでは、それまでできていた日々のゴミ出し・家の周りの片づけなどができなくなり、近所でトラブルとなるケースもあります。食事・掃除・ゴミ出しなどのお世話を頼めるヘルパーさんに頼むのもよいでしょう。
また、高齢者が火を扱うことに関して、周りはとても不安に感じます。法令で定められている火災報知機は必ず取り付けましょう。石油ストーブなどは利用しないようにして、安全機能付きのガスコンロに取り換えるなどの対策も必要です。電磁調理器に替えるとより安心だと言われています。
本人がわかる限り「火の用心」「鍵をしめましたか?」など注意喚起の張り紙をするのも効果的でしょう。本人にとっても、周りにとっても安全な環境を整えておきましょう。
身の安全を確保するために
認知症は、その日によっては調子が良かったり悪かったりと、日々症状が違うことがあります。家族が遠方である場合、もし可能であれば友人や地域の人に様子を見に行ってもらえるといいですが、昨今の近所付き合いや人間関係では困難な場合が多いでしょう。
まずはケアマネージャーに相談し、ヘルパーさんなどに定期的に顔を出してもらうなどの見守りを頼む方法もあります。
ただし、いくら本人が知っている人でも、認知症が進むと「物盗られ妄想」などがでてきて、頼りにしていた人ともトラブルになることがあるようです。知り合いなどに頼むよりも、なるべくヘルパーさんなどに行なってもらうのが理想だと思います。
公的サポート・介護サービスの準備
地域の民生委員や地域包括支援センターに相談して、公的サポートを受けられる準備をしておく必要があります。
症状によっては、早いうちからデイサービスなどを利用し始めておくと、より症状が進んだ時に始めるよりも拒否されにくい、というケースもあるようです。
すぐに介護サービスを受けるような状態ではなくても、これから受けられるサービスの種類を確認しておいたり、現状と今後について相談しておくことは大切です。
ケアマネージャー、ヘルパーさんなど、今後関わっていく人との信頼関係を作っておくと、本人へのサービスにつなげやすくなります。そして、離れて住む家族としても安心して頼めるようになります。
また、お金を扱うことにも不安が出てきます。突然高額なものを買ってしまったり、どこに片づけたのかわからなくなったりする場合があります。本人の手元に置いておく現金はなるべく少額にしておき、通常の支払いや受け取りなどは自動振込など、本人が現金を扱わなくてすむ方法を利用しましょう。
症状が進んだ時にお金の管理を頼めるように、成年後見人を早めに決めておくのがよいでしょう。ただし、後見人などは本人の財産を守るために行なう仕事・義務などが生じるため、状況を十分に理解している子供や身内などが、まずは候補者として理想的だと思われます。
金銭管理についても、地域包括センターや社会福祉協議会などで相談を受けてもらえます。