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人生は折り返して元の姿に戻る(MGさん/50代女性)

その後の大きな力となるケアマネージャーとの出会い

ケアマネージャーの母への接し方、そして驚き

母が、82歳の時、“要介護1”の認定を受け、居宅介護支援事業所に連絡をしました。その後、ケアマネージャーが自宅に来られました。

これが運命の出会いとなったのです。

当日、どんな感じなのかわからない私は、とても緊張していました。まず、「お母様は同席できますか?」とおっしゃったので、母を呼びにいきました。そのとき母は、とても不機嫌で「行かない!」と駄々をこねたのです。

それでも何とか連れて行った時、ケアマネージャーは立って母を迎えられました。そして、ケアマネージャーが、母に話しかけられた瞬間、母の態度は大きく変化したのです。

まず、私がおどろいたのは、ケアマネージャーが母に話しかけている姿勢です。

私が、母をソファーに座らせると、母の前に座り込み、母の視線の高さにあわせ、少し大きな声でゆっくりと話しかけていらっしゃいました。「こんにちは~。お会い出来るのを楽しみにしていました。お体の調子はいかがですか?」それに対し、母も大きな声で元気に明るく答えていました。

また、母の足のむくみをみつけ、「痛いですね~。リハビリすれば、むくみもなくなるかもしれませんよ」と足をさすりながらおっしゃっていました。

その頃の私の姿勢はと言うと、母が高齢になっていること、認知症になっているということへの自覚がなかったのか、母が若かった頃に対していた態度と何も変わりなかったのです。

ある意味、こんなにも母の態度を変えるケアマネージャーの姿勢にショックを受けました

 

私の気持ちも受け止めてくれたケアマネージャー

母との会話が終わり、部屋に連れて行ったあと、ケアマネージャーは私に、今まであったこと、心配していること、不安に思っていることなど、いろいろと確認されました。

母との衝突が、母の性格なのか、高齢によるものなのか、認知症のせいなのか、それさえわからず、まして今まで、そんな母のことを相談できる人は、母の主治医だけだった私は、そのストレスをぶつけるかのように、すべてお話したのです。

ケアマネージャーは、私の話をしっかり受け止めてくれました。私のことを、受け止めてくれたことに力がぬけて涙が流れました。

ケアマネージャーも私の涙につられて泣いていました。

ケアマネージャーは「私たちは、お母様の身になって最適な介護サービスが受けられるように支援していくのが仕事です。

でも、ご家族が安心して、少しでも介護者(私)のプライベートな時間を作れて、体も休めることができるようなプランを計画するのも私たちの仕事です。

不安に思うことがあったら何でも相談してください。」と言ってくれました。

 

本当に大切なケアマネージャーとの出会い

この日の出会い、ケアマネージャーの存在が、これから、もっと深刻になっていく介護へのストレスや悩みに対し、とても大きな力になっていきます。

ケアマネージャーも中には、あまり相性が良くない人もいらっしゃると聞きます。私の担当のケアマネージャーは、本当に良くしてくださり、今では、お互いに下の名前で呼び合うほどになりました。

出会いは本当に大切だと思います。

その頃から、会った人の名前や顔も覚えていないことが多くなっていた母ですが、ケアマネージャーのことは、名前はわからなくても、顔はしっかり覚えているようです。

後から聞いた話ですが、母のような症状の場合、とても繊細で、その人が(優しい人なのか、怖い人なのか、いやなことを言う人なのか、おもしろい人なのか)そのようなことを、敏感に感じることがあるそうです。

昔と変わらない態度だった私は、この頃、母には、(怖い人、いやなことを言う人)に見えていたかもしれません。

 

ケアプラン(介護サービス)の説明

ケアマネージャーは、どんな介護保険サービスがあるのかをわかりやすく説明してくれました。その中で、その頃の母と私にとって、一番必要だったのが居宅サービスです。

居宅サービスには、(訪問介護)と(通所介護)があり、訪問介護は、自宅を訪問して日常生活の介助をしてくれるサービスとのことでした。

母の場合は、足のむくみがあり、つかまり歩きをしている状態でしたので、デイサービスでリハビリを中心とした介護サービスが受けられる通所介護になりました。

認定結果が介護1でしたので、介護1の範囲で受けられるプランを計画してくれたのです。

ちなみに、居宅サービスには、看護師や保健師などが、医療行為を行う(訪問看護)や、短期間施設に入居して介護を受ける(ショートステイ)、特定施設(ケアハウスなどの有料老人ホームへの入居)、福祉用具のレンタルサービスなども含まれるそうです。

当時、デイサービスに行くことだけで十分満足していた私は、他のサービスにはあまり興味をもちませんでした。でも、この後ショートステイの利用や歩けなくなった頃には、福祉用具のレンタルサービスも受けることになります。

現在は、褥瘡の手術をして入院中ですが、心臓も悪く、自宅での介護はおそらく無理と言われています。退院できたとしても、特定施設にお世話になる日がくるのかもしれません。

 

デイサービスを楽しむ、私の知らなかった母

ケアマネージャーおすすめのプランにより、デイサービスに行くことになった母ですが、私の不安はまだまだ続きます。

母は、もともと、初めての人とのコミュニケーションが苦手な人でした。

大勢の人たちと何かをするのも苦手な人でした。まして、引っ越しをしたばかりで、ご近所に知り合いもいなくて、家に引きこもっていた状態でした。

そんな母が、デイサービスに行って大丈夫なのか、途中で帰ると言い出さないだろうか、という心配がありました。

でも、その心配はまったく無意味でした。

初日、帰宅した時、とても満足そうな顔で、ドライバーの人に「ありがとうね!また明日ね!」と手を振りながら言っていたのです。私はそんな母を見ておどろきました。

私が子供の頃から知っている母とは、まるで別人だったからです。

 

子供だからこそ、親の本当の姿を知らなかったのか

親のことは、子供である私がいちばん知っているつもりでしたが、実は、子供だからこそ、親の本当の姿を知らないのかもしれません

この時、親の性格を思い込んでしまえば、誤った判断をしかねないと感じました。

プランの詳細は、介護1の範囲にまだ余裕はありましたが、母の様子を見る為に週3日のデイサービスから開始しました。しかし、母がデイサービスをとても気にいっている様子だったので、翌月からは、週4日にしました。

ケアマネーシャーが、月に一度自宅に来られ、翌月のプランについて打ち合わせをします。

週4日のデイサービスで満足していた頃、家族が一日中ゆっくり過ごせるようにと、ショートステイ(介護施設泊)もすすめてくれました。

デイサービスに行っている日は、夕方まで仕事に集中することもでき、助かっていたのですが、ショートステイは、母の場合、土曜日の朝お迎えに来て日曜日の夕方帰宅しますので土曜日の夜、日曜日の朝と、ゆっくり体を休めることができました。

宿泊することに対して母がどんな反応を示すかも心配しましたが、これも幸い問題ありませんでした。

デイサービスやショートステイは、入浴や排泄、食事などの介護も含まれています。母は、高血圧で糖尿病のため、飲み薬とインスリン注射も必要です。

しかしそれも、医師や看護師がいらっしゃるので、まったく問題ありませんでした。

それに母がお世話になる介護施設はお風呂が温泉だったのです。温泉が好きな母だから、とても喜んでいました。入浴は、本当に助かりました。と言うのも、一度自宅で怖い経験をしたことがあるからです。

 

以前、浴槽から上がれなくなった母

転倒で右手首を骨折した母は、転倒が怖く何かにつかまらないと歩けない状態でした。

お風呂に入る時は、特にすべりやすく転倒する可能性があるため、毎回、私も一緒に入っていました。

デイサービスやショートステイに行くようになってから、自宅でお風呂に入ることはなくなりましたが、お風呂の椅子に座る母の背中を洗ってあげたのが、今となっては良い思い出になっています。

それは良い思い出ですが、悪い思い出もあります。

毎回、私が早めに服を着て、母の手を引き脱衣所に連れて行くのですが、この日は母が、何を思ったのか、まだ浴槽に入っている状態で栓をぬいてしまったのです。

脱衣所から壁越しに「大丈夫?」と何度か声をかけ「大丈夫」と答えが返ってきていたことと、浴槽に入っているから転倒する心配はないという思い込みから、母の姿を目視していませんでした。

母を見に行った時、お湯は、ほとんどなくなっていたのです。

足の力が弱くなっていた母は、自分で立ち上がることが出来ず、私が、母を抱きかかえようとしても、重くてまったく持ち上げられませんでした。母の体が冷えてきたので、とりあえずバスタオルを母にかけました。

その状況に、パニックになった私はどうすることも出来ず泣きそうになりました。

幸い、家族が帰ってきたので、何とかなりましたが、お風呂に入るたび、その苦い出来頃を思い出します。おちついて考えたら、もう一度お湯をためれば良いだけの話でした。

介護4になった今でも、ケアマネージャーにはお世話になっています。母が入院するたび、お見舞いに来てくれて、手術の時も立ち会ってくれました。

ケアマネージャーに限らず、母がお世話になっている介護施設のスタッフの方たちも、母だけではなく、私のことも心配してくれます。
本当に感謝しています。

良い人との出会いは人生をも変えると言っても過言ではないと思います。