事例3[暴力]
事例3[暴力]
介特別養護老人ホームで働いていたことがあるMさん(女性)に、「暴力」の症状についての体験を教えてもらいます。
事例3:暴力
特別養護老人ホームでの、暴力があった場合の対応
私が独身時代に働いていた特別養護老人ホームに入居されていた方で、認知症で暴力があった方についての対処法について紹介したいと思います。
その方はアルツハイマー型の認知症の方だったのですが、暴力があるということで各居室に鍵がかかるエリアに入居してもらいました。ほとんど私たちの会話が通じないほど重度の方で、この老人ホームに入居されるまでは奥様ががんばって自宅で介護をされていたそうです。
暴力が出始めて介護に限界を感じ、入居されるようになったと伺いました。
必ず2人で対応すること
実際に介護をするようになってからは、やはりおむつ交換と着替えが大変な状態でした。特におむつ交換は途中で動こうとされたり、嫌がって叩こうとされたりするので本当に大変でした。おむつ交換や着替えをする時には必ず2人で対応するようになりました。
私も実際に夜勤のときにおむつ交換をしているときに、おなかを蹴られてしまい、もう一人のスタッフに外に引っ張り出されたことがあります。あの時は本当に怖かったです。認知症で暴力がある方は、ただの認知症だけではない場合が多いです。その方は精神疾患も患っておられました。
今もこのような方が特別養護老人ホームにはいらっしゃると思いますが、絶対に一人で介護することはしないでほしいです。自分の身を守るためにも必ず2人以上で介護することが必要です。出来れば男性の介護士が1人いたら安心だと思います。
やはり自宅で介護が難しくなった方が入居されているのですから、それなりの覚悟は必要だと思います。
本人が機嫌の良い時に介護する
その他の対処方法として、その方の機嫌の良い時に介護することも必要でした。おむつ交換の時間であっても、部屋を覗いたときうろうろしていたりしているときはオムツ交換は中止して、落ち着いているときに行うなどです。やはりその入居者の状態を見ながら対処することが必要でした。
また機嫌の良い時には昔の話などをよく話してくれていたので、機嫌のよい時に本人の好きな話を聞きながらやるなど色々と対処法を考えながら介護をしていました。
本当に重度の認知症の方で、暴力をふるわれる方の介護は大変です。一人で介護することは危険ですのでやめた方がよいと思います。絶対に複数で居室に入るようにして、今介護ができる状態であるか確認しながら介護していくことが必要です。確かに大変ですが、しかし心を開いてもらえた時の喜びは何にも変えられません。