家族性アルツハイマー病(FAD)
家族性アルツハイマー病(FAD)
認知症の症例の一つとして、家族性アルツハイマー病、Familial AD(略してFAD)と呼ばれるものがあります。FADとは、いわゆる一般的に知られている若年性アルツハイマー病で、特に遺伝的に発症してしまうものを指します。
40代を過ぎた頃からの発症が多い
通常における認知症と言えば、高齢者が発症してしまうケースが多いのですが、若年性アルツハイマー病はその特徴として場合によっては20代からでも発症してしまう可能性があります。
このFADの発症しやすい年齢としては、40代を過ぎた頃が特に顕著のようです。アルツハイマー病の中では、FAD罹患者は割合としては少なく、5%を下回る程度のようです。
認知症の中でも若年性アルツハイマー病は進行が速いと言われていますが、同様にFADは遺伝子の変質によりその症状の進行は更に速く、早期での発見および治療が重要とされています。
遺伝子診断を受ける
FADの原因としては遺伝子によるものと述べましたが、具体的には異常のある遺伝子がアミロイドβと呼ばれているタンパク質を健常者より多く集めてしまう傾向にあるようです。
現在ではどの遺伝子に異常があればFAD発症の可能性があるのか判明しているものもあるために、もし親族にFADの方がいた場合はなるべく発症前に遺伝子診断を受けたほうがよいといえるでしょう。
またこの原因となっている遺伝子は、先天性のダウン症の原因であることも判明しているために、ダウン症に罹患している方は同時にこのFADを発症しやすいと言われており、FADだけでなく親族にダウン症の方がいる場合でも遺伝子診断を受けたほうがよいかもしれません。
家族性アルツハイマー病の進行
原因は異なっているもののその症状の進行は一般的なアルツハイマーと同様となり、三段階に大きく分けることができます。
- まず始まりとして記憶力の低下が見られ、時間がわからなくなったり、道に迷ったりなどや計算といった頭を使う行動ができなくなったりといった症状が見られますが、その人本人の性格や人格には影響は少ない点が挙げられます。
- 次により記憶力が低下し明確に障害が出ているということがわかってきます。そして意識が混濁したり、また幻覚を見たりといった症状が現れ、徘徊癖も見られるようになるようです。
- そして最後の段階には身体にまで影響が出るようになり、日常生活を送ることも困難となることも少なくなく、最終的に脳の機能が失われ寝たきりとなってしまいます。
FADの場合、発症してしまってからの診断が遅れてしまい結果的に治療が間に合わない事も少なくないようです。可能な限り早い対応が必要なのです。