認知症になりにくい条件
認知症になりにくい条件
認知症になりやすい条件と反対に、認知症になりにくい条件を考えてみましょう。
(フレディ松川先生の研究・書籍を参考にしています)
前頭葉と側頭葉の血流に秘密がある?
脳を前頭葉、側頭葉、後頭葉に分けた場合、認知症の人とそうでない人が明らかに違うのは、前頭葉と側頭葉だそうです。認知症の人は、前頭葉と側頭葉の血流が少ないのだそうです。前頭葉と側頭葉に血流が多く流れれば認知症になりにくい、と仮定できるかもしれません。
ではどんなときに、前頭葉と側頭葉に血流が多く流れるかと言うと、以下のようなときです。
【前頭葉と側頭葉に血流が多く流れるとき】
- 好きなことに熱中しているとき
- 夢中に何かをしているとき
また、記憶の中枢は側頭葉にあるので、側頭葉の血流が良くなると、記憶中枢を刺激して認知症になりにくくなるようです。言い換えると以下のとおりです。
自分が夢中になれるような好きなことをしていると、前頭葉と側頭葉に血流が多く流れて、認知症になりにくくなる。
身近な例で言うと、高齢者にとっては散歩することがとても良いようです。外に散歩に出て人と会い、話をし、まわりの花や木を見て季節を感じ、今までの記憶を刺激していると、座ったままや寝たままの人よりは、はるかに前頭葉や側頭葉に血流が多くなるのです。これは想像できることですよね。
しかし、物忘れが進んだり気力が失われたりしてくると、散歩一つでもおっくうになったり、ついつい部屋にこもりがちになったりするケースは、とても多いと思います。
そんなときには、「よし行こう!」という意識を持って連れ出す、あるいは本人にその気になってもらうのが、一番のポイントと言うことでしょうか(「その気になってもらう」というのが、介護者にとっては困難なのですが)。
好きなこと、夢中になれること、頭を使うことで、血流がよくなる
認知症になりにくくなる要因として血流がよいことが上げられましたが、散歩することも含めて、例えば以下のような状態のときに血流がよくなるようです(フレディ松川先生の研究より)。
- 天気のよい日に散歩をしているとき
- 料理や好きな趣味に打ち込んでいるとき
- 楽器の練習に打ち込んでいるとき
- 会話が弾んでいるとき
- 競馬などで推理を働かせているとき
- お金の計算を暗算でしているとき
- 声を出して文章を読んでいるとき
- ゲームや囲碁、将棋などをしているとき
- 手紙や日記を書いているとき
- 旅行先で昔を回想しているとき
言われてみると、なるほどと感じます。しかし、少なくとも中高年ぐらいまでであれば日常生活でしょっちゅう出くわす場面ですよね。特別に意識せず、生活の中に現れる場面です。
高齢になるにしたがって、それまであたりまえの場面がなくなってきたとき、あるいはそれを忘れてしまったとき、次第に脳の活動が停滞してしまうのかもしれません。
頭で理解できるうちに、今一度これらの大事な場面を意識し、あえて積極的に実践してみることが、認知症の予防につながるかもしれません。上記のようなことを実践することに、損は何もないと思います。
脳波と認知症の関係
起きているときの脳波には、α(アルファ)波とβ(ベータ)波があります。α波は、リラックスしているときや、好きなことに熱中しているときに出ます。β波は、考え事をしているときや、働いているときに出ます。
α波がよく出る人は、長生きする傾向にあるようです。α波がよく出るということは、状況に順応し、融通が利くということにつながり、α波が出にくいということは、几帳面で冗談が通じず、リラックスし辛いということにつながるようです。
これまでの研究では、α波が出にくい人は認知症になりやすい傾向にあるということです。これは、「α波を出す習慣がなかった人」ということかも知れません。
- よく笑い
- くよくよせず
- トラブルがあってもどこか楽しみ
- リラックスして前向きになっている
そうすると、おそらくα波は出やすいでしょう。これは、その人の価値観や感性、心のもち方に密接な関係があると言えるのではないでしょうか。