新オレンジプラン1
新オレンジプラン1
新オレンジプランとは
2012年9月に厚労省により「認知症施策推進5カ年計画」、通称「オレンジプラン」が公表されました。このオレンジプランでは、認知症の早期発見・認知症の人を地域で支援するサービス作りを主な目的としています。
しかし認知症の人数は高齢化が進むことによって、予想よりも速く増加していく見込みとなっています。
もはや、「認知症の人は支えられる側」としてだけ考えていくのでは不十分で、国・地域全体が認知症の人を受け入れ、かつ「認知症の人も認知症を受け入れながら、自分らしく生活していくことができる」体制を整えていかなくてはいけない、ということが求められるようになってきました。
そのために、新たに厚労省は「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」を策定しました。これが「新オレンジプラン」です。
新オレンジプランの7つの柱
2025年には団塊の世代が75歳以上となります。新オレンジプランでは、その年を迎えるまでに、認知症の人の意思を尊重し、住みなれた地域にできる限り暮らし続けることができる社会を作っていくことを主な目標としています。
これを実現するために、大きな7つの柱をもって施策を進めていきます。その柱の具体的な内容は次の通りです。
- 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
- 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
- 若年性認知症施策の強化
- 認知症の人の介護者への支援
- 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
- 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルの研究開発
- 認知症の人やその家族の視点の重視
この中から、新オレンジプランが特に力をいれて推進していくポイントについて、詳しく紹介します。
【第1の柱】認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
認知症の人の視点に立って、認知症への理解を深めるキャンペーンを実施していきます。認知症の人が自らの言葉で語る姿などを積極的に発信していくことによって、認知症がどのような病気であるのか、広く知ってもらうことが重要です。
認知症サポーター養成を支援する
また、認知症サポーターを養成し、様々な場面で活躍してもらうことを支援していきます。
認知症サポーターというのは、「地域ケア政策ネットワーク全国キャラバンメイト連絡協議会」が実施する「認知症サポーターキャラバン事業」の一環である「認知症サポーター養成講座」を受講・修了した人のことです。
認知症を正しく理解して、認知症の人とその家族の応援者として、地域包括支援センターだけでは足らないことなどのフォローをしていく事を目的としています。旧オレンジプランでは2017年度末までに600万人の認知症サポーターを養成することを目標としていましたが、新プランでは800万人に引き上げています。
教育現場で認知症の人と関わり、理解を深める
さらに、学校教育等で認知症の人を含む高齢者への理解を深めるような教育を進めていきます。具体的には、小中学校で認知症サポーター養成講座を開催したり、大学等では学生がボランティアとして、認知症高齢者と関わることを進めていきます。
【第2の柱】認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
基本的な考え方としては、認知症の容態の変化に応じて、その時の容態にもっともふさわしい場所で医療・介護を提供していくことを目指しています。
容態の変化というのは、
- 発症予防
- 発症初期
- 急性増悪時
- 中期
- 人生の最終段階
というように大まかに分けています。
まずは認知症の早期診断・早期対応が最も重要としています。そして発症後の対応としては、認知症の人それぞれを尊重した上で、例えば同じ施設に入ったままなどにするのではなく、容態の変化に応じて、少しでも地域社会の中で生活していけるように支援していく体制を整えていくことを目指しています。
医療・介護に従事する人の認知症への対応力を向上させる
旧オレンジプランから新しくなった部分としては、まずは何よりも身近なかかりつけ医が認知症に対する対応力を高めることが重要とし、そのための研修の受講者数の目標を引き上げました。また、かかりつけ医が認知症診断に関する相談などをできるよう、認知症サポート医の養成も目標を引き上げて行っていきます。
さらに、地域の医療機関などと連携している歯科医師・薬剤師が高齢者と接する中で、認知症の疑いがある人に早期に気付いたり、適切に対応できるようにするための研修を新設することになりました。
同様に、認知症の人とかかわる機会の多い看護職員が、認知症への対応に必要な知識・技能を修得することができる研修も新設され、新任の介護職員向けの認知症介護基礎研修なども新設されます。
できる限り早い段階からの支援を充実させる
そして、旧プランの中で目玉施策となっていた「認知症初期集中支援チーム」の設置目標としては、2018年度から、すべての市町村で実施することとなりました。
「認知症初期集中支援チーム」というのは、市町村が地域包括支援センターなどを含む病院・診療所などに置いている、認知症の早期診断・早期対応を行っていくチームのことです。
認知症専門医の指導を受けて、複数の専門職が認知症の人やその家族を訪問して、初期の支援を集中的に行い、かかりつけ医と連携しながら自立生活のサポートを行うことも目的としています。
地域で医療・介護などを連携させる
また、認知症疾患医療センターを含む医療機関や介護サービス、地域の支援機関の間の連携を図るための支援や、認知症の人や家族を支援する相談業務などを行う「認知症地域支援推進員」も、2018年度からはすべての市町村で設置することになります。