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ストレスが溜まると海馬は委縮する?ストレスに対抗する方法

ストレスが溜まると海馬は委縮する?ストレスに対抗する方法

日常生活を送る上で多少のストレスはつきものですが、過度なストレスが体に良くないことは、誰もが認識していることでしょう。「ストレスで胃が痛い」という言い方はよく耳にしますが、最近の研究により、強いストレスが脳にもダメージを与え、認知症の原因になる場合があることもわかってきたそうです。

強度のストレスが海馬にダメージを与える

人間がストレスを受けると、副腎からコルチコイドというホルモンが分泌されて血圧や血糖値が上昇し、人間がストレスに立ち向かっていったリ、ストレスから逃れたりする助けになります。

ストレスが強度であったり長期に及んだりすると、コルチコイドの分泌量も増えますが、あまりにも多量に分泌されると、脳の海馬の神経細胞がダメージを受けて萎縮することがわかってきました。このことは、強度なストレスを受けた人の脳のMRI検査で明らかになったそうです。

海馬は、脳の中でも記憶力をつかさどる重要な部分であり、機能が低下するとアルツハイマー病を発症し認知症になることがあります。

海馬がストレスによりダメージを受ける詳しいメカニズムはまだ解明されていないようですが、脳の中にある神経伝達物質「興奮性アミノ酸(グルタミン酸)」やセロトニンという物質が関与しているのではないかという研究結果がいくつかあるそうです。

それらの研究はまだ動物実験の段階ですが、興奮性アミノ酸やセロトニンの作用を薬で抑えることにより、海馬のダメージを防ぐことができたそうですから、人間においても治療可能となる日が来れば、アルツハイマー病や認知症の予防にも役に立つことでしょう。

 

ストレスの精神的な原因は、人間関係が多い

ストレスの原因には身体的なものや精神的なものなど、様々なものがあります。

身体的な原因は体の負担を伴うものであり、例えば、毎日の長距離通勤や深夜・ 早朝の勤務、病気やけが等があります。精神的な原因は、やはり人間関係を伴うことが多いようです。

職場でも学校でも家庭でも、常に人間関係はついて回りますから、子供から高齢者まで、全ての年齢層が抱えるストレスの原因であると言えます。

もちろん、ストレスの感じ方には個人差がありますが、現代社会で最も大きなストレスを感じているのは、働き盛りの30~40代の人達ではないかと言われています。

この時期は、社会へ出て間がなかった20代の頃とは異なり、職場では中堅として活躍する立場になる頃でしょう。役職に就いて、部下に指導する役割を担うようになる時期でもあります。

2016年6月に「NHKスぺシャル」で取り上げられていた、過去に受けたことがあるストレスや将来にわたる不安も、ストレスの原因になるとのことです。これは「マインドワンダリング(心の迷走)」とも呼ばれているもので、例えば、以前職場で叱責されて辛かったことを思い出したり、何日かあとに予定している仕事で失敗して、叱責されるのではないかと不安になったりすることです。

ストレスに強い人・弱い人の違い

また、ストレスに強い人と弱い人が自ずから存在するようです。

ストレスに強い人には、物事にくよくよしないプラス思考の人が多く、困ったときに助けを求められる仲間がいたり、逆に困っている仲間には進んで手を差し延べたりする人が多いとのことです。そして、仕事以外の趣味や娯楽で結びついた仲間を多く持つ人も、ストレスに強いようです。

意外にも、会社の経営者や社会的地位が高い人にはストレスに強い人が多いそうですが、それは「コントロール・アビリティ」、つまり自分自身をコントロールする力が高いせいであると言われているようです。

通常、そのような人は責任の重い重要な仕事をしているはずですし、様々なネットワークを持って多くの人間関係を築いているものです。そのため、ストレスは人一倍多いのではないかと考えられますが、自分自身を適確にコントロールできる高い「コントロール・アビリティ」があるからこそ、そのような立場で仕事ができるようになったのではないかと考えられていて、認知症になりにくいというデータもあるそうです。

一方、ストレスに弱い人の中には、生真面目で完璧主義であったり、問題が起きても自分だけで抱え込んでしまったりして、自信がなく自己主張も苦手である人が多いようです。

 

ストレス解消により海馬をダメージから守る

生活していく上で、ある程度はうまくストレスと付き合う必要がありますが、海馬がダメージを受けるほどの強いストレスは、可能な限り解消したいものです。

手近なストレス解消の方法と言えば、食事や飲酒、趣味、運動等を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ストレス解消に効果的であるとされている食べ物も多くありますし、仲間との食事や飲酒は非常に楽しく、ストレスは発散できそうですね。

趣味の場合は、音楽や園芸、旅行、買い物等、幅広く楽しめてストレスの解消には効果がありそうです。

 

ストレス解消法として注目されるマインドフルネス瞑想

一般的なストレス解消法の他に、最近注目されている効果的なストレス解消法の一つは、「瞑想」です。

今年の9月に放送されたNHK総合テレビの「ためしてガッテン」では、瞑想の中でもおもに「マインドフルネス瞑想」について紹介されていました。このサイトでも、マインドフルネス瞑想の効果や方法を詳しく紹介しています(瞑想が海馬を大きくしてアルツハイマー病などを改善させる?)。

マインドフルネス瞑想を実践することで、ストレスでダメージを受けた海馬を活性化させて、認知症の予防にもなるという研究結果も発表されているので、効果に期待できそうです。

食事や飲酒、運動等の場合は、過度に行うと健康を損なう可能性が出てきますし、趣味の場合は費用が多くかかることも少なくありません。一方、マインドフルネス瞑想は、場所さえあれば誰でも手軽に始められるストレス解消法です。

自分に合ったストレス解消法を取り入れて、脳の海馬をダメージから守り、認知症を予防していきたいものです。

 

 

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