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高齢者の睡眠不足は認知症を招く

高齢者の睡眠不足は認知症を招く

高齢者は睡眠不足になりやすい

高齢者の場合、なかなか寝付けない、よく眠れない、夜中に繰り返し目が覚めるなどの問題を抱える人が多いようですが、このような高齢者は認知症になるリスクが特に高いと言われています。

生活習慣病と認知症についてはこのサイトでも触れていますが、睡眠不足や睡眠障害などがあると認知症になりやすいこともわかってきたようです。

通常、高齢者には仕事をしている人が少なく、場合によっては配偶者との死別や独り暮らしなどのストレスを感じる環境に置かれていることもあります。ですので、時間的に自由であっても不規則なリズムで毎日を過ごしていると、昼間はうとうとして夜は眠れなくなったりします。

あるいは、加齢による体の不調が起きて、治療のために薬をのむことも増えてきて、薬の影響で睡眠障害が起きることもあるようです。

また体が自由に動かせないような場合は、昼間の活動量の不足により夜になっても眠気を感じないことがあったり、あるいは白内障等の眼の病気がある高齢者では、日中の光が充分に受けられないため体のリズムが狂いやすくなったりするとのことです。

認知症の人は一般の高齢者と比べて、さらに睡眠不足や睡眠障害が起こりやすいと言われています。認知症が進行している場合、わずか1時間くらい眠り続けることすら難しくなる場合があるようです。

眠らないとアミロイドβを取り除けない

睡眠不足や睡眠障害と認知症の関連についての研究が行われています(アメリカ:ロチェスター大学の研究チーム)。

昼間、人が活動することにより、脳は多くの働きをします。活動して経験したことを取り込んで理解・分析し、項目に分類した上でわかりやすい情報として脳の中に残しておく作業です。

これらは、脳にとって大きな負担がかかる作業であり、作業により脳内には有害な老廃物(アミロイドβ)が溜まっていくことが明らかにされました。

この研究によると、睡眠中は脳内のアミロイドβが取り除かれてきれいな状態になるのですが、眠っていない状態では、アミロイドβを掃除して取り除くことがあまりできなくなるようです。そのため、脳内の色々な部分にアミロイドβが蓄積されて神経細胞の働きが悪くなるものと考えられています。

 

認知症を防ぐ、効果的な昼寝

できるだけ睡眠不足や睡眠障害を避け、認知症の予防に役立つ方法には、以下のようなことが考えられています。

  • 毎日30分以内の昼寝をする
    30分以内の昼寝により、認知症になる確率が昼寝の習慣のない人の5分の1に減少すると言われています。ただし、1時間以上の昼寝をすると、逆に確率が2倍になるので要注意と言われています。
    睡眠には4つの段階があると言われていて、眠り始めて約30分を過ぎると眠りが最も深い段階に入るようです。深い段階の睡眠は徐波睡眠(じょはすいみん)と呼ばれていて、脳波を測定すると徐波(デルタ波)という波が出ているのがわかるそうです。徐波が出る時間数は1日の中でほぼ決まっているため、昼寝中にすべて出てしまうと夜は出なくなって眠りが浅くなり、その結果、認知症になる確率が高くなるようです。
  • 寝室の環境や生活のリズムを整える
    室温や明るさを適切に調整し、寝床に入る時刻や起きる時刻、食事の時刻を規則正しくします。
  • お酒やタバコは避けて、水分も夕方以降は少量とする
  • 認知症の治療薬は脳が活性化するため、午前中に服用する
  • 社会的な接触や運動量を増やす
    周りの人が話し掛ける、午前中は散歩して日光を浴びる、簡単な手作業をすること等により、昼間の居眠りを少なくします。

 

 

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