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認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)

認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)

オレンジプランとは

オレンジプランとは、2012年9月に厚生労働省が公表した、「認知症施策推進5ヵ年計画」の通称のことです。2013年度から2017年度までの5ヵ年計画であり、既にスタートしています。

この通称がつけられたのは、認知症のサポーター(認知症への理解を深め、認知症の人とその家族を支援するための養成講座を受講した人)が手首に着けることになっている、オレンジ色のリングに由来するためであるようです。

オレンジプランが公表された背景

認知症の高齢者数は、急増中です。
2002年には149万人でしたが、10年後の2012年には305万人で、約2倍になりました。このままさらに増え続けると、2025年には470万人に達するのではないかという推計があります。これは、高齢者10人のうち1人以上は認知症になるということを意味します。2003年頃に行われた推計では、2020年以降まで認知症の高齢者が300万人を超えることはないものと考えられていましたが、予想を大幅に上回る状況となっています。
追記:65歳以上の高齢者のうち認知症の人は推計15%で、2012年の時点で460万人にのぼることが、厚生労働省研究班の調査でわかりました。なんと、上記の予想を10年も早く実現してしまっています。

通常、認知症の人を介護する家族には、非常に重い負担が掛かります。そのため、介護施設等への入所や病院への入院の必要性が非常に高くなります。しかし、そのような状況に反して、特別養護老人ホームへの入所を待つ人が全国で40万人を超えているのが現状です。少しでも早く入所するために、住み慣れた地域を離れて遠方の施設へ入所せざるを得ないということも多くなっています。

また、国の財政状況は非常に厳しいため、在宅介護よりも費用がかかる施設介護を、今後も介護保険の制度等で維持していけるかどうかという大きな課題もあります。

このような背景をもとに、厚生労働省がオレンジプランを打ち出しました。オレンジプランでは、認知症の高齢者を早期に発見することで少しでも早く適切な医療や介護のケアを開始し、住み慣れた地域でそのまま暮らし続けていけるよう、施設介護から在宅介護へ移行することを施策としています。

オレンジプランの内容と5年間の目標

1.認知症ケアパスを作成し、普及を図ります。

認知症ケアパスとは、認知症の進行状況に合わせて提供される医療や介護のサービスの標準的な流れを示したものです。まず、2012~2013年度にかけて調査や研究を行ったうえで、2013~2014年度にかけて、各市区町村でのケアパスの作成が普及することを目標とします。そして、2015年度以降は、各市区町村が検討して決定する介護保険事業計画の内容にケアパスが反映されるようになります。

2.医師が早期に認知症を診断することで、早期の対応を可能にします。

これまで、認知症の症状がある程度進行してから受診する人が多く、対応が遅れることが多かったというのが実情です。そこで、かかりつけ医を受診した段階で対応できるよう、医師に対し、「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を実施します。研修を受講した医師の数は、2012年度末の見込数が35,000人だったのを、2017年度末では50,000人にすることが目標です。

そして、「認知症サポート医養成研修」も実施します。
研修を受講した医師の数は、2012年度末の見込数が2,500人だったのを、2017年度末では4,000人にすることが目標です。

各地域に、認知症疾患医療センター等、認知症の早期診断等を行う医療機関を約500ヵ所配置することを目標とします。

認知症初期集中支援チーム」を設置します。
これは、看護師や保健師が認知症の人や家族の生活の状況を聴取した上で、今後予想される症状の説明や生活上のアドバイスを行うものです。まず、モデル事業として全国で約10~20ヵ所くらい設置し、実施した結果を見て制度化するかどうかを検討する予定です。

地域ケア会議」の普及を進め、定着を図ります。
これは、地域包括支援センター等に設置され、運営される会議です。認知症の人の支援を行う機関や団体の代表者が互いに連携し、支援を強化したり改善したりするために行う会議のことです。

3.認知症の人の地域での生活を支援する、医療サービスを築きます。

認知症の薬物治療に関するガイドライン(薬物での治療を行う方法やルールなど)を作ります。精神科病院への入院が必要な場合とはどのような状態か、調査や研究を行って明確にしていきます。精神科病院から退院して在宅への復帰が円滑に行えるよう支援するため、クリティカルパス(入院から退院に向けて、検査や治療、リハビリ等を表にまとめた診療計画書)を作成します。

4.認知症の人の地域での生活を支援する介護サービスを築きます。

認知症の人に合った介護サービスを整え、症状により在宅での生活が難しくなった場合は、施設での対応も行います。グループホーム小規模多機能型居宅介護等の地域密着型サービスを充実させます。

5.認知症の人が地域で生活できるよう、家族も含めて支援を強化します。

認知症地域支援推進員を育成します。
認知症地域支援推進員は、市区町村の医療機関や各支援機関、介護サービス関係機関等がそれぞれのサービスを適切に提供できるよう調整することにより、認知症の人と家族を支援する役割を持ちます。認知症地域支援推進員の人数は、2012年度末の見込数は175人でしたが、2017年度末では700人を目標とします。

認知症サポーターを育成します。
認知症サポーターは、養成講座を受講すれば誰でもなることができます。認知症のことを理解し、認知症の人や家族に対し、可能な範囲で手助けを行う役割を持ちます。周りの人達に認知症への理解を求める啓発を行ったり、地域で暮らす認知症の人や家族の見守りを行ったりします。認知症サポーターの人数は、2012年度末の見込数は350万人でしたが、2017年度末では600万人を目標とします。

市民後見人を育成します。
市民後見人は、判断能力が低下した認知症の人に代わって、財産管理や病院等での手続きを行って支援します。法律や保険制度等の知識が必要です。養成講座が開かれていることもあります。

認知症の人と家族への支援として、「認知症カフェ(認知症の人や家族、支援する人達が参加して話し合い、情報交換等を行う場)」等を普及させます。経験者の話を聞いたり、悩みを打ち明けたりできる機会を設けて支援します。

6.若年性認知症に対する理解を深められるよう取り組みます。

早期に若年性認知症の診断や治療が受けられるよう医療面を充実させ、介護も適切に活用できるよう支援します。支援のためのハンドブックも作成します。雇用が継続されるよう事業者に働きかけたり、就労の支援を行ったりします。障害者手帳制度の活用や障害基礎年金の受給に関連する支援も行います。

7.医療および介護サービスを担う人材の育成を進めます。

認知症ライフサポートモデル(認知症ケアモデル)を作り上げます。認知症ライフサポートモデルとは、医療や介護も含む全ての面を総合した、認知症の人への生活支援のことであり、それぞれの役割を持つ人達が支援の目的や目標を共有します。

認知症介護実践リーダー研修の受講を促進します。2012年度末の見込数は2.6万人でしたが、2017年度末では4万人を目標とします。

認知症介護指導者養成研修の受講を促進します。2012年度末の見込数は1,600人でしたが、2017年度末では2,200人を目標とします。

一般病院に勤務する医療従事者を対象とする、認知症対応力向上研修を開始します。2017年度末で87,000人を目標とします。

上記の制度については、当サイトとしては大きな疑問を感じます。

現在、認知症の本人を介護する家族の負担が浮き彫りになっています。問題行動はもちろんのこと、本人と家族との感情の行き違い、理解不能、暴言・暴力などから来る家族のストレスは、計り知れません。本人の気持ちを少しでも想像し、心を通わせながら見守りたいとは思いながらも、簡単にはいきません。

介護者は、人生の時間やエネルギーの多くをその介護によって失っています。

また、現状では認知症は一部の原因となる病気を除いて完治できません。家族にとって、施設などに介護を委ねることが最終的な方法であるのは、明白な事実です。オレンジジプランは、そのような問題を含んだ介護をもう一度、家族やその周囲に戻そうとしてる、と感じざるを得ません。

その理由は、介護保険の維持が難しいからでしょう。また、経済的な背景が大きいので、金持ちは施設を利用できるが、庶民は在宅介護を強いられる、という構造も見えてきます。

オレンジプランによっていかに周囲のサポートや地域で支援サービスが充実しようと、いや在宅介護を奨励すればするほど、介護者である家族が負担を強いられます。介護によって家族の人生が奪われることを放置すれば、そのストレスはゆくゆくは本人への虐待、ネグレクト、果ては無理心中などにつながる可能性は断ち切れず、現にそういったケースが後を絶ちません。

かといって、いまや行政だけではこの問題を解決することは困難のようにも見えます。国民と国の双方が、改善のために知恵を出す必要があるかもしれません。

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