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体と頭を同時に使う認知症予防法(BDNFを増やす)

体と頭を同時に使う認知症予防法(BDNFを増やす)

認知症の予防に関する研究で近年注目されているBDNFという物質をご存じでしょうか?2013年6月25日放送の「たけしのみんなの家庭の医学」でも取り上げられたこのBDNFについて紹介します。

認知症の予防や改善に役立つBDNFとは?

今まではアミロイドベータ(β)蛋白質の増加がアルツハイマー病の原因とされてきましたが、それだけではないことがアメリカ・ミネソタ大学の研究で判明しました。

アミロイドβがかなりあっても、脳に存在するたんぱく質の一種「BDNF」を増やせば、海馬の肥大を促し、物忘れや認知症を予防できる可能性があるようです。

BDNFはBrain-derived neurotrophic factorの略で、日本語では「脳由来神経栄養因子(のうゆらいしんけいえいよういんし)」という液性蛋白質です。神経細胞の生存・成長を始めとして脳細胞の増加には不可欠で、現在、神経疾患治療に応用可能な蛋白質として着目されています。

どうしたらBDNFを増やせるか?

2013年6月25日放送の「たけしのみんなの家庭の医学」では、アメリカ・ミネソタ大学の脳解剖研究に協力しているノートルダム教育修道女子会のシスター678名の生活習慣にBDNFを増やすヒントがあるとのことでした。この修道女たちの死後の脳を調べた結果、脳はアルツハイマー病のような状態になっていたものの、3人に1人は亡くなる前に認知症の症状が出ていなかったことがわかったのです。

詳しくはこちらもご参照ください:認知症とは何か

では、修道女たちの生活習慣とはどんなものかというと、規則正しく日課をこなすことで、適度な運動をしながら頭も同時に使っています。運動すると筋肉が収縮してIGF-1という物質を分泌し、そのIGF-1が物忘れ改善物質BDNFを増やしていたのです。

国立長寿医療研究センター室長の島田裕之先生によると、BDNFを増やすには運動と頭をつかうことが大事で、この2点を抑えればアミロイドβが蓄積しても認知症リスクを抑制できると期待されています。この島田裕之先生が適度な運動と頭を使うという2点を取り入れた認知症予防トレーニングを開発し、愛知県大府市の高齢者の方々に1年間行ってもらったところ、約8割の人の認知機能を改善することに成功したといいます。

BDNFを増やす認知症予防トレーニング

※ただし、病気などで治療を行っている場合は主治医に確認を取って行ってください。

1) 「体を動かす」と「脳を使う」を同時に行うトレーニング
目安:1回30秒×週3回
・踏み台昇降運動と同時に
・計算(足し算・引き算)・野菜や果物の名前を次々と言う・2人で行う場合はしりとりをする
※1 踏み台が無ければ階段の一番下の段で行います。
※2 両足に均等に負荷がかかるよう、右足から上がって左足から降ります
2) 歩いて筋力を強化するモンキーウオーク
目安:1日1分間×週3回
・両足を肩幅ほどに開き、まっすぐに立つ。
・背筋を伸ばしたままゆっくりと両ひざを曲げて腰を落とし、両手を組んで前へ伸ばす。
・この状態のまま、前を見ながらゆっくりと歩く。
※慣れてきたら歩幅を大きくして大股で行うと、さらに筋力を強化できます

脳と体、どちらも健康に

適度な運動は認知症予防と同時に、体力の維持にも役立ちそうです。
脳と体がどちらも長く健康でいるために、1日のうちほんの少しをトレーニングに使ってみませんか?

 

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