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認知症の種類(原因となる病気)

認知症の種類(原因となる病気)

認知症の原因となる病気は、アルツハイマー、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病など)、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、などです。甲状腺機能低下症や脳腫瘍、うつ病、薬の副作用などが原因となることもあります。全部で200から300くらいあると言われています。

ひとつの原因によってなるだけでなく、複合型といわれるものや、その他の病気など多くの要因が絡み合って発症する場合もあります。

日本では、原因や症状を的確に見分けて診断できるような信頼できる認知症の専門医が少ないようです。認知症はその原因となる病気によって治療法が変わってくるため、誤って違う治療法を行うと、症状が悪化するケースもあるようです。

家族としては、「良い診断ができる医師」を見つけられるかどうかが鍵となってきます。また、介護しながらでは大変困難ではありますが、医師や出された薬をそのまま信用せず、おかしいと思ったら正直に疑問をぶつけてみたり、医師を変えたりすることも必要なようです。

アルツハイマー型認知症

日本人の認知症患者の半数以上はアルツハイマー病が原因の認知症で、特徴ある症状として、激しい物忘れがあります。

高齢になるほどかかりやすく、85歳以上で急増します。男性よりも女性に多いようです。これまでの研究では、脳にアミロイドβというタンパク質がたまって神経細胞が減ってしまうため、脳がやせて物忘れがひどくなると言われていましたが、アミロイドβは直接の原因ではないという説もあります。

また、脳に存在するたんぱく質の一種「BDNF」を増やせば、海馬の肥大を促し、物忘れや認知症を予防できる可能性があるようです。

アルツハイマー型認知症

体と頭を同時に使う認知症予防法(BDNFを増やす)

レビー小体型認知症

脳にレビー小体(Lewy Body)という異常な物質がたまることが原因で、アルツハイマー病と同様に、変性性(脳の神経細胞が原因不明で減少する病態)の認知症です。レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症とは少し症状が異なります。

アルツハイマー型認知症は短期記憶障害の症状で始まることが多いようですが、レビー小体型認知症はそれに加えて「幻視(げんし)」(実際にはないものがあるように見えること)が現れることが多いようです。これは実際には存在しないものが生々しく見える症状で、例えば、実際にはいないのに「人がいる」「虫が這っている」などと訴えるものです。

その他の特徴としては、気分や態度が大き変わり、穏やかであったと思えば興奮したり錯乱したりといった状態を繰り返したり、また、パーキンソン病に似た歩行障害などの「運動機能障害」も見られるため、転んでしまう危険性が高く、寝たきりになりやすいようです。体幹傾斜(左右どちらかに体が傾く)という特徴もあるようです。

便秘や尿失、立ち上がった時に血圧が下がって失神することもある「自律神経障害」も伴うようです。

またレビー小体型認知症は「薬剤過敏性」が強いとされ、例えばアリセプトなどの薬に過剰に反応したり、興奮を抑える薬なのに興奮してしまったりと、従来の症状が悪化するなどの反応があるようです。それゆえレビー小体型認知症の投薬は、その分量がとても重要性ということです。

しかしながら一番厄介なのは、医師によっては投薬の正しい判断ができず、むやみに薬を増やしてしまうことで、本人が危険な状態にさらされることがあるという事実です。結局のところ医師に対しても薬に対しても、家族が十分な注意を払うしかないというのが現状のようです。これは家族にとって大変深刻で、過酷な状況といえます。

混合型認知症

アルツハイマー型に加え別の認知症のタイプである脳血管性認知症を併発してしまう場合には、混合型認知症に分類されます。この両者は特に高齢者に多く見られる代表的な認知症となっているため、実に症例のうちの70%を超える割合をこの両者が占めていると言われていますが、混合型認知症の割合は15%と言われています。

混合型認知症

脳血管性認知症

脳の血管が詰まったり破れたりすると、血液が脳全体に流れなくなって神経細胞が死んでしまい、死んでしまった部分の脳の働きが悪くなり、認知症の症状が出ます。脳の血管に異常が生じると、急に症状が出ることが多いようです。

もともと、日本では脳の血管の病気が多かったので、脳血管性認知症が最も多かったのですが、最近では減少しています。女性よりも男性に多いようです。

ピック病(前頭側頭型認知症)

脳の前頭葉は思考や感情に関係する部分で、側頭部は音を聴くことや記憶に関係する部分です。このような部分の神経細胞が減ってしまう前頭側頭型認知症のうち、神経細胞内に「ピック球」という病変が現れるものがピック病(Pick’s disease、PiD)です。

怒りっぽくなる、頑固になるなど性格が変わったり、反社会的な行動をとる(万引きや人前での排便)などの症状が出てきます。

慢性硬膜下血腫

転んで頭を打つなどして、頭がい骨の内側が出血することが原因でなる認知症です。
血液がたまってかたまりになると、その周りを圧迫するので、体の一部のマヒ物忘れなどの症状が出ることがあります。早いうちに血液のかたまりを取り除く治療をすれば、良くなることが多いようです。

正常圧水頭症

脳の周囲には脳脊髄液があり、脳を保護しています。この脳脊髄液がたまり過ぎて脳を圧迫し、脳の働きが悪くなって現れる認知症です。小刻みに歩、物忘れする、失禁するなどの症状が出ます。たまり過ぎた脳脊髄液を外に出す治療(シャント手術)をすれば、症状が良くなることもあるようです。

その他

甲状腺ホルモンが少なくなる「甲状腺機能低下症」や脳腫瘍、うつ病、薬の副作用などが認知症の原因となることもあります。

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