家族が急に倒れたとき1(準備/介護保険)
家族が急に倒れたとき1(準備/介護保険)
どんなに元気な人でも、高齢になってくると病気になる可能性は非常に高くなりますし、室内でつまずくなど些細なことが原因でも、大きなけがをしてしまうことがあります。突然の発病で倒れるということも、少なくありません。
常日頃から、そのような事態を想定して準備を全て整えておくわけにはいきませんが、いざという時に少しでも迅速に対応できるよう、いろいろな手続きについての知識や情報を収集しておくことは可能です。ここでは、家族の誰かが急に倒れて介護が必要となった場合はどうすればいいのか、高齢の親が倒れた場合を中心に考えていきましょう。
介護が必要になったときのための介護保険
病気やけがが原因で倒れた場合、多くの場合は入院して治療を受けることになります。
入院のために必要な手続きや、必要なものの準備、病院側とのやりとり、入院中の親の身の回りの世話から退院後の介護の準備、家族の仕事の調整に至るまで、一度に多くのことが必要になり、家族の生活は一変してしまうはずです。治療が終わって退院しても、すぐに自宅で誰の助けも借りずに生活できるとは限りませんから、まず介護保険のサービスを利用することを考えましょう。
介護保険の手続きの他、やるべきことを分担できる家族やきょうだい、親戚がいればいいのですが、中には一人でやらざるを得ない場合もあるでしょう。親と離れて遠隔地で暮らす人も少なくないはずです。
優先度の高いことから要領よく片付けていくためには、仕事を持っている人は、日頃から自分自身の仕事をうまく段取りしておくよう心がけましょう。介護保険の手続き等で役所へ出向いて手続きを行う際に、できるだけ支障なく休暇が取得できるよう準備しておくことも必要になるからです。前もって役所の窓口の受付時間を調べておいたり、地区を担当している地域包括支援センターが土曜日でも相談を受け付けているかどうかを確認しておいたりすることも大切です。
介護保険の要介護認定を申請し、結果が出て実際に介護サービスを受けるまでには日数がかかるので、早めに情報を集めておいて、いざとなったらできるだけ早くサービスが受けられるように備えましょう。
また、介護を受ける人が40~64歳である場合は「第二号被保険者」であり、国が定める16種類の特定疾患に該当する人だけが介護給付を受けられるので、注意が必要です。
日頃から準備しておくこと
親が何の病気でどんな治療を受けているか、薬は何をのんでいるか、今までにかかった大きな病気は何か等について、日頃から確認しておく必要があります。
かかりつけの医療機関の連絡先や受付時間、主治医の名前等もメモして、健康保険証といっしょに保管しておくといいでしょう。急な入院に備えて、最低必要な着替えや身の回り品をまとめて、家の中のわかりやすい場所に用意しておけば安心です。
一般的に、最近は入院期間が短くなる傾向があるようです。手術を受けたような場合でも、早期離床(そうきりしょう:全身の状態が落ち着いたら、早期に座ったり立ったり歩いたりすること)が促されているようですから、退院後の準備が整っていない間に退院するということにもなりかねません。
退院後は在宅で介護するのか、施設等へ入所するのか、在宅の場合は誰が介護を行うのか等について、入院中の検査や治療と同時進行で検討し、決定しなければなりません。もしも、介護の協力者が近くに居ない等の理由で、退院までに決定するのが難しそうであれば、親が元気なうちから、親自身の意向もふまえて考えておく必要があります。
もっとも、両親ともに健在で、どちらかが倒れてももう一人が介護できる場合や、子どもの家族と同居している場合、きょうだいや親戚が近くにいる場合等は、あまり心配はないかもしれません。
やはり、親が暮らす郷里が遠隔地であったり、ひとりっ子や独身であるような場合は、早めに対策を話し合っておくことが大切です。
また、入院中の付き添いが不要である完全看護の場合でも、認知症などで医師や看護師との意思の疎通が難しい場合や、かなりの高齢の場合は、病院側から付き添いを求められる場合もあるようなので、付き添いを誰が行うか等も検討しておく必要があります。