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生活上の危険回避

生活上の危険回避

認知症の人は、理解力や判断力、運動能力が低下しているので、普通なら何ともないようなことでも危険な場合があります。

在宅で家族といっしょに生活していても、やむを得ずひとりで過ごす時間もあるでしょうし、家族がちょっと目を離した時に事故が起きる可能性もあります。危険を回避して事故を未然に防ぐには、認知症の人の生活環境をどのように整えていけばいいでしょうか。

家の中の事故を防ぐ

認知症の人から見ると、家の中には危険なものがたくさんあります。

例えば、少しの段差や階段などです。段差を解消したり手すりをつけたりする住宅改修費の一部が、介護保険で支給されます。また、自治体によっては、要介護認定を受けていない高齢者世帯に改修費用を支給しているところもあります。

認知症の人は運動能力が低下しているので、つまずいてケガをする危険性が高いので、このような制度も利用して生活環境を整えましょう。

そして、危険を回避するためには、とにかく家の中を片づけることです。刃物やわれもの、やけどをしたり火事になったりする可能性があるもの(マッチや電化製品、コンロなど)、薬などには、充分注意してください。

認知症の人は、異食や弄便などの症状が出てくる場合もあるので、間違って食べてしまうことを回避するためには、まわりの人の目配りが必要です。口に入れてしまいそうなものは、きちんと片づけましょう。

徘徊がある場合

認知症の人が徘徊して道に迷い、家に帰れなくなることがよくあります。名前や住所、連絡先を書いたものを衣類に縫い着けておいたり、前もって近隣の人に声を掛けて、徘徊しているのを見掛けたら連絡をお願いしたりすることが必要です。

遠くまで行ってしまうこともあり、事故に巻き込まれる危険性もありますから、民間の「徘徊位置探索サービス」を利用することもひとつの方法です。民間のサービスの利用料を一部負担してくれる自治体もあるので、役所の窓口に問い合わせてみるといいでしょう。

要介護2以上の場合、介護保険を利用して徘徊感知機器をレンタルすることも可能です。徘徊感知機器とは、認知症の人が家の外へ出ようとしていることを知らせてくれる器械で、家の中に設置しておくものや、認知症の人が身に着けるものがあります。

悪徳商法も要注意

多くの被害が問題になっている振り込め詐欺の他にも、次のような悪徳商法をはじめ、その進化・細分化が後を絶ちません。

  • 点検商法:点検を装って無用な工事を行い、法外な費用を請求する。
  • 送り付け商法:注文していない商品を送り付けてきて、代金を請求する。
  • かたり商法:例えば、消防の関係者をかたって、警報機や消化器を売り付ける。
  • 催眠商法:安価な景品で会場に多くの人を集め、最後に高価な商品を売りつける。
  • 次々商法:悪徳商法の業者にネットワークがあって情報が流れ、一度被害に遭うと、別の業者も訪ねてくる。

家族の留守をねらって認知症の人に契約を迫ったり、電話で話を持ちかけてきたりすることもあります。だまされたことに早く気づいた場合は、クーリングオフ制度により解約することが可能で、消費生活センターや地域包括支援センターで相談を受け付けています。

しかし、だまされたことに気づかなかったり、認知症の人が家族に打ち明けられずにいる場合もありますので、認知症の人の様子に少しでも変化がないか、しっかり見守りましょう。本人の財産を守るために、場合によっては「成年後見制度」の検討も必要かもしれません。

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