認知症の中核症状2(見当識障害/理解力・判断力障害/性格変化)
認知症の中核症状2(見当識障害/理解力・判断力障害/性格変化)
見当識障害
見当識障害とは、年月日や季節、曜日、時刻、自分がいる場所、人と自分の関係などがわからなくなる症状です。
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時間や季節がわからなくなる
時間がわからなくなると、予定に合わせて準備をしたり、約束の時刻を守ったり、長い時間待ったりすることができなくなります。夜が明け切らない早朝を夕方と間違うこともありますし、外出するような時間でもないのに、急に出かけようとすることもあります。今は平成ですが、もっと以前の時代と間違うこともあります。季節がわからなくなると、季節に合わない衣類を着てしまったりします。ところで、「時間」がわからなくなるのには理由があります。「何日の何時か」ということは刻々と変化していますから、時間の認識をするということは、毎日毎時間「更新」をする必要があります。通常、ひと晩寝ると翌日になりますから、頭の中で日付を更新することになります。
健全な状態であれば、時計を見て「今、何時何分だ」と時刻を更新することもできますが、認知症では絶え間ない変化を認識する能力が低下するため、時刻を更新できなくなり、時間がわからなくなるのです。一方、「場所」や「人」は毎日変化することはありませんから、「時間」に比べたらわからなくなりにくいようです。
- 自分のいる場所がわからなくなる
方向感覚が低下し、近所で通り慣れた道であっても迷子になったり、家の中でも迷子になってトイレの場所がわからなくなったりします。自分の家であることもわからなくなって、どこかへ帰ろうとして家を飛び出したり、とても徒歩では行けない距離を歩いて行こうとしたりすることがあります。 - 周りの人と自分の関係がわからなくなる
過去の記憶がだんだん失われていくと、自分の年齢や人の生死もわからなくなり、自分の子どもを親と間違ったり、孫と子どもを間違ったり、息子の妻を自分の妻であると思い込んだりすることがあります。家族に向かって他人行儀にあいさつしたり、家族を泥棒と間違えて騒いだりして、まわりを混乱させることもあります。
理解力・判断力の障害
物事を理解し、適切な判断ができなくなります。
どの服を着たらいいのか、料理の味付けにどの調味料を使うのかなど、日常生活の些細なことでも判断できなくなります。
内容を理解できないままに契約を結んだり、保証人になったり、高価な商品を買ってしまったり、多額のお金を引き出したりすることもありますから、大きなトラブルになる危険性が出てきます。また、ちょっとした変化にも対応できず、混乱することが出てきます。
頭の中で物事を組み立てて考えて、目の前の現実のことと結びつけることができなくなります。例えば、「血圧が高いので、塩分を多く取ってはいけない」とわかっていても、目の前にある塩分の多い食べ物を口にしてしまったりします。それから、目に見えない部分で起きていることがわからなり、金融機関のATMや駅の自動改札機が使えなくなったりします。
性格変化(人格変化)
穏やかだった性格が一変して怒りっぽくなったり、陽気だった人から笑顔が消え、不安に満ちた暗い表情を見せるようになったりして、人格が大きく変わることがあります。
その一方で、もともとの性格が強さを増す人もいるようです。