アルツハイマー病について、アメリカで新薬の開発が進められているようです。
アメリカでガンの治療薬として開発された「AZD5030」
アストラゼネカ社が開発した「AZD5030」という薬は、初めはガンの治療薬として開発された薬でした。結果としてガンの治療薬としては認可されなかったのですが、アメリカの国立衛生研究所でアルツハイマー病に効果がある可能性があることがわかりました。
認知症治療薬として開発中の「AZD3293」
アルツハイマー病で問題となる物質は、「アミロイドベータ」などのタンパク質と考えられてきました(現在異論があります)。脳内の老廃物というべき物質で、これらが蓄積して大きくなることによって、神経に傷を付けて脳が萎縮して、物忘れなど認知症の症状が発生するといわれてきました。
そこで、BACEというアミロイドベータと関連する酵素の働きを妨げることで、その蓄積を防いで症状を抑えることが期待できる新薬が開発されました。それが「AZD3293」です。すでに臨床試験によって、その効果が示されたそうです。
日本で、国を挙げて新薬の「治験」
2015年1月に厚労省が「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」を策定しました。通称「新オレンジプラン」です。
この新オレンジプランの中の大きな7つの柱の一つに「(6)認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデルの研究開発」という施策があります。
その施策の中では、各省が連携して行う「脳とこころの健康大国実現プロジェクト」に基づいて、2020年頃までに、日本発の認知症根本治療薬の治験の開始を目指すと明言されています。
2015年4月現在、独立行政法人国立病院機構のいくつかの医療機関で、アストラゼネカ社の依頼によるアルツハイマー病患者を対象とした「AZD3293」の治験が行われているそうです。