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軽度認知障害(MCI)を血液で早期発見する「MCIスクリーニング検査」

軽度認知障害(MCI)を血液で早期発見する「MCIスクリーニング検査」

厚生労働省によると、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症になると予想されるようですが、認知症を根治させる治療法はまだ見つかっていません。

しかし、認知症に移行する前の段階であるとされている軽度認知障害(MCI)を早期発見し、有効とされる治療や予防策を講じることで、認知症の発症を食い止めたり発症を遅らせたりすることが可能であることが、わかってきました。

軽度認知障害(MCI)の早期発見が可能な検査として開発された、MCIスクリーニング検査について見ていきましょう。

MCIスクリーニング検査の料金、導入している医療機関

MCIスクリーニング検査は、株式会社MCBI(2003年設立。代表者:内田和彦筑波大学准教授)と筑波大学教授である朝田隆氏が共同研究で開発し、2015年に発表されました。

スクリーニング検査とは、病気の症状を訴える人に対して行う検査と異なり、症状がない人を対象として、病気の疑いがあるかどうかをふるい分ける検査のことです。

一般的に行われているがん検診等も、スクリーニング検査のひとつです。

MCIスクリーニング検査の精度(正しい結果が得られるかどうか)は、約8割とされています。

現在、健康保険の適用がない検査であるため、料金は全額自己負担であり、医療機関にもよりますが20,000円程度(税別)かかる場合が多いようです。初診料も別途必要です。

MCIスクリーニング検査はすべての医療機関で導入されているわけではありませんが、2017年5月現在、全国で1,311件の医療機関で実際に導入しているとのことですから、最寄りの医療機関で検査を受けることができそうです。

 

少量の採血だけで受けられる、負担のない検査

MCIスクリーニング検査はとても簡単で、身体的な負担もほとんどありません

わずか10cc程度の血液を採るだけであり、通常2~3週間後には結果がわかるようです。朝食を摂ってから検査を受けることも可能ですし、医療器械や薬、放射線を使うこともありません。

医療機関によっては、たとえ自覚症状がなくても50歳以上の人にMCIスクリーニング検査を推奨しているようです。これは、急激に認知症発症者が増加する70歳代の約20年前から、脳にアミロイドβが蓄積していると考えられているからです。(当サイトでは異論がありますが、アミロイドβという物質がアルツハイマー病の原因であるという考え方があります。)

認知症に限らず、例えば脳血管疾患や糖尿病等でも、症状が出るよりもかなり前に病気を発症し、進行が始まっていると考えられているようです。

50歳以上の人であれば、人間ドックや健康診断を受ける機会があると思われますが、そのような機会にこの検査も同時に受けられる医療機関もあるとのことです。

認知症の症状が出る前のMCIの段階で治療を始めることは、とても意味のあることだと思われ、認知症予防のための検査と考えてもよさそうです。

 

3つの蛋白質の血液中の濃度を調べる

MCIスクリーニング検査では、以下の3つの蛋白質の血液中の濃度を調べるそうです。

  1. アポリポ蛋白質
  2. トランスサイレチン
  3. 補体蛋白質

アルツハイマー病ではない健康な人の場合、アミロイドβは脳から出て脊髄液に入り、そのあと血液中に排出されるそうです。

この仕組みに関わり、アミロイドβの作用を低下させる働きをするのがこの3つの蛋白質であり、その血中濃度を調べることで、アルツハイマー病やMCIであるかどうかが判定できるとのことです。

アルツハイマー病やMCIの人では、この3つの蛋白質の血中濃度は低下するとされています。

 

MCIでも、適切な対応で認知機能の回復へ

現在、実施している病院は限られていますが、「認知力アップデイケア(筑波大学附属病院精神神経科、メモリークリニックお茶の水で実施)」や、「コグニサイズ(国立長寿医療研究センターが開発)」、「アタマカラダ!ジム(キャピタルメディカ社とJR東日本スポーツが開発)」等に参加することで、認知機能の維持や回復が期待できるそうです。

本格的なプログラムとまではいかなくても、部分的に同様の内容を採り入れているデイケアセンター等もあるようです。

認知力アップデイケア

筋トレや脳トレ、音楽療法、料理、回想法(参加者相互に思い出を引き出し合い共有する)、シナプソロジー(体と脳の運動を同時に行う)を採り入れており、楽しみながら取り組めるように工夫されているそうです。

コグニサイズ

コグニション(認知)とエクササイズ(運動)両方の課題を同時に行い、脳を刺激しながら運動を行うそうです。

アタマカラダ!ジム

MCIの早期発見テスト(全13問)と脳を刺激しながら運動を行うプログラムが実施されているそうです。

MCIスクリーニング検査を受けた結果、もしもMCIであることがわかっても、認知機能の維持や回復に繋がるプログラムに取り組む等の方法で、認知症を予防したいものです。

MCIの状態であれば、適切な対応により14~44%の人は認知機能が回復するという研究報告もあるようです。

また、当サイトでも紹介している認知症のためのサプリメントなどを併用する方法もあるでしょう。

 

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