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認知症の徘徊・行方不明対策「大牟田モデル」1

認知症行方不明者1万人時代の到来

「認知症の人やその疑いがある人が徘徊などで行方不明になった」という警察への届け出件数を2013年(平成25年)警察庁が初めて公表しました。その数は2012年の1年間でのべ9607人、2013年ではのべ1万322人に上りました。1日に約28名が行方不明として届け出られていることになります。この数は届けられた件数ですので、実態としてはさらに多くの認知症の人が行方不明になっている可能性があります。

すぐに見つかるケースも多いですが、今年2014年4月末時点で行方不明のままの人は258人。今後高齢化が更に進むにつれ、認知症の高齢者はさらに増え続けると予測され、徘徊による行方不明はさらに深刻になるでしょう。

そこで、地域ぐるみで認知症の人を支える「大牟田モデル」という町づくりの方法が注目を集めています。大牟田モデルを紹介する前に、まずは認知症行方不明者に関わる実態をご紹介します。

行方不明の事例

1.列車事故
2007年12月、愛知県大府市で91歳の男性がJRの線路で列車にはねられて死亡しました。GPSの情報を元に家族が駆けつけた時、既に列車事故は起きた後でした。JR東海が家族に損害賠償を請求し、名古屋地裁が全額の支払いを家族に命じた判決は、認知症の家族をもつ多くの人に衝撃を与えました。
【追記】
2016年3月の最高裁判決では、JR東海の訴えを退け、JR東海の敗訴が確定しました。最高裁は家族の監督責任について、家族だからといって一律に監督責任を負うわけではなく、同居の有無、日常的関わりの程度、財産管理の程度、介護の状況など総合的に判断して監督責任の有無を判定するとしたのです。
2.身近な場所での死亡事故
2012年、東京都で行方不明になった85歳の女性は、自宅から1キロ以内のごく近い場所、民家と民家の塀の間に入り込んで衰弱死した状態で発見されました。通常入り込むとは思えないような場所で発見されることも少なくないことが知られています。
3.身元不明のまま7年間
群馬県館林市では、路上で保護され行政の施設で7年間生活していた女性の身元が家族によって確認されたことも記憶に新しいのではないでしょうか。家族は警察に届け出るとともに、チラシなどを作って探していましたが、行政・家族・地域の情報連携がうまくゆかず、結果的に7年の歳月がかかってしまいました。
認知症による徘徊で行方不明になった人は、保護されても身元が分からないことが多くあります。あまりにも長い行方不明期間は家族に失踪宣告を考えさせ、このケースでもあと一歩で女性は法律上死亡したことになってしまっていたかもしれません。

家族やまわりの人にとって、何が重要か

訪問介護など可能な限りのサービスを使い見守りをしたとしても、24時間見守り続けることはもちろん難しいことです。

保健師や社会福祉士などの専門職で作られたチームは、徘徊などが始まる前には、食欲の不振や脱水症状、感情が安定しないなど何らかの「サイン」を調査しています。その専門家によれば、私たちにもできる「サイン」の見つけ方があると言います。サインには、「同じことばを繰り返す」「同じ物を大量に買ってしまう」などです。そうした小さいサインを見逃さず、徘徊の前兆として気遣うことが重要になってきます。

また、長時間公園のベンチにいる高齢者を不審に思った人が声をかけたことにより、無事保護されたケースもあります。不安で落ち着かない様子の高齢者や、服装が季節外れだったり、履き物がちぐはぐだったり、おかしいと思ったら、私たちが勇気を出してまずはやさしく声をかけることが勧められています。見知らぬ人に声をかけるのは勇気が要りますが、今後こうした取り組みは社会的により重要になってくるでしょう。

行方不明の防止策・対策の事例

1.SOSネットワーク
1995年、警察庁が全国の警察本部に呼びかけ、厚生労働省も自治体に財政支援をするなどして徘徊行方不明者捜索のネットワーク作りを促しています。警察・行政・地域が連携して行方不明者を捜す「SOSネットワーク」と呼ばれる取り組みです。
2.オレンジプラン
2012年には「オレンジプラン」という認知症対策5か年計画作り、認知症の早期診断を始めとして、地域で認知症患者を支える施策や医療・介護サービスを担う人材の育成などを盛り込んでいますが、増え続ける認知症の人を支え切れていない実態があります。
3.GPS端末の利用
衛星の電波を使って位置を特定するGPSの技術を利用し、行方不明者の捜索に役立てる試みもあります。しかし、認知症の人に常に身につけてもらうことの難しさや費用面での問題もあり、課題が残されています。

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